無償

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疲れた…
少し休ませてくれないか

受話器の向こうから聞こえてきた彼の声
甦る胸が苦しくなるほどの切ない思い


終わったはずの恋なのに…




何処に居るの?


下まで来てるんだ…開けてくれないか?


私が下まで行くわ。


懐かしい後ろ姿に胸が震えた…


どうしたの?


少しだけこうしていてくれ…


骨が軋むほど抱き締められたとき
伝わってきたものは

誰にも見せることのできない
男の弱さだった




白々と夜が明ける頃


起こさないように静かに身支度をし
静かに部屋のドアを閉める

ありがとう…すまない…


冷えきった魂を優しく包み込んでいく
お前の優しさに甘えてしまった


必ずやり遂げてみせる…






静かに閉まるドアの音を聞きながら
頬を伝う一筋の涙



幸せな姿を見せて欲しい

見返りを求めるとすれば…それだけです