純愛3

f:id:Hanamizuki-Rin:20190924180536j:plain


マサは防波堤の上に腰掛け、

凛が裏門から出て来るのを待っていた。

潮風に吹かれながら静かに…。


周りを気にしながらマサの方に向かう凛。


凛が階段を上がり終える前に

マサは防波堤から降り歩き始める。


マサの後ろからトコトコついて歩くだけ。


時々、立ち止まり振り返るマサ。

(歩くの速すぎる?大丈夫か?)

歩みを止め頷く凛。

(大丈夫)





全てアイコンタクト…

これが凛とマサとの会話だった。


ほんの数百メートルの通学路を黙って歩くだけ。

手も繋がない、言葉も交わさない。


交わす言葉は別れ際の


『みんなが向こうで待ってるから』

『うん』


これだけ。



ほんの数分の二人の時間だった。



付き合ってから2年が来るころ、

凛は初めてマサの家に行った。

アパートの下まで迎えに来てくれたマサの
後ろをトコトコついて歩く。


家に行くとお父さんとお母さんが迎えてくれた。

『ゆっくりしてね』


マサは自分の部屋で本を読み
凛はマサの姿を見てるだけ



『ねぇマサ…』

『ん?』

『凛ね…マサのお嫁さんになる』

『うん』

『お嫁さんにしてくれる?』

『うん』

マサの背中に向かって話す凛

振り返るのが照れ臭くて
背中向けたまま頷くマサ



その返事を聞いて凛はサヨナラを決めた。

もう十分…幸せありがとう…って。



マサは訳がわからなかった。

穏やかで温かな二人の時間に嘘はなく

別れる理由がなかったから。







何度となく再会をしながらも

結ばれることなく別々の道を歩み

お互いの幸せを願い合う二人。






あれから約30年の時が流れ

凛とマサは再会するのです。





『凛…元気か?』

『うん…元気』



どんなに月日が流れても

何も変わらない二人だけがわかり合える

穏やかで温かなものが、そこにあった。




別れても別の道を歩いても

変わらず引き合う魂の結び付き。




結婚とは…結魂なのだと感じた二人でした。







お・わ・り…☺️