ただ
そこに居るだけ
ただ
近くに居るだけ
ただ
それだけで
心安らぐ彼の存在
二人にしかわからない愛の形
金木犀の香る秋
試験週間でクラブ活動はお休み
テニス部で地区のトップ3に入る凛が
唯一、ゆっくり出来るとき
『凛、マサ君と一緒に帰れば?』
『方向真反対』
『じゃあさ、途中まで一緒に帰れば?』
『…』
『はい決定(笑)(笑)(笑)』
凛と彼が少しでも二人で過ごせるように
キョウちゃんはあの手この手を考える
キーンコーンカーンコーン…
『今日のHRを終わります』
『さようならー』
帰り支度をし視線を彼の方にやると
彼は凛にこう伝えた
教室から一緒に出ることはしない
後からゆっくりおいで…待ってるから
アイコンタクトと一瞬の彼の仕草
二人のいつもの会話だった
『凛❗️何やってるの?マサ君行っちゃったよ』
『うん』
『一緒に帰るんじゃなかったの?』
『帰るよ』
『は~?ワケわから~ん』
『皆が帰って人が少なくなったら行くよ』
『何処へ?』
『マサの所。待ってるって言ってたから』
『凛、そんなこといつ話したの?』
『今』
『今ーーー?????…あ、そっか(笑)』
『じゃ、角曲がった所の信号で待ってるね』
笑いながらキョウちゃんは教室から出ていった。
誰も居なくなった教室から出て
彼の待つ裏門へ向かうとき
金木犀の香りが凛を優しく包み込んだ…
つづく…