桜散る季節
窓から散り行く桜を見る彼の姿に釘付けになった
振り返った彼と目が合った凛は
慌てて目を逸らした
『ずっと見てたのバレちゃったかな…』
友達に呼ばれて教室から出ていく彼
『どうしよう…こっちに来る…』
『桜…綺麗だね』と
立ち止まりもしないで言った彼
『えっ?』
俯いていた凛が顔を上げ彼を見ると
チラッと振り返り優しく笑った
凛はその優しい顔に懐かしさを感じ戸惑った
『凛、どうしたの?』
『えっ?何でもないよ。ねぇ、あの子、何君?』
『ん?マサ君のこと?マサ君がどうかした?』
『ううん。どうもしないよ』
『ふ~ん』…ニヤニヤするキョウちゃん
『何?何で笑うの?』
『凛が誰?って聞くなんて珍しいからさ~』
凛はいつも静かに教室に居て誰にでも
話し掛けることはしなかった
目立つことを避けて過ごしていたから
キョウちゃんが不思議に思うのも無理はない
『なるほどね~。わかった!』
彼の所に走って行くキョウちゃん…
えっ?何?何してるの?何話してるの?
凛は頭の中が真っ白になった
『凛~オッケーだって』
ニコニコしながら凛に伝えるキョウちゃん…
『何話したの?何がオッケーなの?』
『彼氏になるってさ』
『えっ…私、何も…え~っ!!』
『マサ君も凛のことが気になってたんだって』
ただ、ただ絶句…
彼の方に視線を向けると
恥ずかしそうに笑う彼がそこに居た
二人のドキドキがひとつになった…
つづく☺️